漢方
これまでの診療のなかで、認知症の徘徊や夜間せん妄、物取られ妄想等の症状を抑える為、鎮静効果の強い精神薬が使われ転倒や誤嚥性肺炎といった副作用が起きてしまうことがありました。
また一般的な薬を飲むと副作用ばかり出てしまい大変な思いをしたというケースもありました。
このような患者様に苦痛を伴わない治療をしたいと考え行きついたのが漢方でした。
漢方は元来生薬である為、西洋薬よりも副作用が少なく安全に使用できるのが強みです。
また、漢方ならではの切り口で治療を行えるのも魅力です。
例えば西洋医学で「うつ」と診断された患者さんの中には東洋医学的に「気滞」であったり「気虚」であったりする場合があります。
複眼的な見方をすることにより使える治療手段も広がることで最終的には患者さんのメリットになるのではないかと思っています。
東洋医学では、いわゆる「病名診断」ではなく「状態像診断」を行います。
具体的には、身体が冷えてるのか熱を持っているのか、乾いているのか湿っているのか、病が表にあるのか裏にあるのか等です。
その状態を判断する為に、舌や脈、お腹や指先、爪などを拝見させていただきます。
漢方の診察順序は「望」「聞」「問」「切」です。
まずは見た目、次に声の張りや匂い、次に問診、最後に触診です。
この順番は鉄則です。逆に言うと望診の段階で患者さんの状態が把握できればそれ以降は不要です。(確かめる意味で実践は勿論可)。
理気剤(気滞)・・・半夏厚朴湯、香蘇散、女神散、抑肝散
補気剤(気虚)・・・補中益気湯、六君子湯、四君子湯
補血剤(血虚)・・・四物湯
気血双補剤・・・加味帰脾湯、帰脾湯、十全大補湯、人参養栄湯
理血剤・・・桃核承気湯、通導散、桂枝茯苓丸
温裏補陽剤・・・牛車腎気丸、八味地黄丸、真武湯、人参湯、安中散、大・小建中湯、呉茱萸湯
安神剤・・・酸棗仁湯、甘麦大棗湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯
解表剤・・・桂枝湯、葛根湯、麻黄湯、小青竜湯
和解剤(半表半裏)・・・四逆散、加味逍遥散、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、柴朴湯、芍薬甘草湯、半夏瀉心湯
表裏双解剤・・・防風通聖散、大柴胡湯
潤下剤・・・潤腸湯、麻子仁丸
利水剤(水毒)・・・五苓散、防己黄耆湯、苓桂朮甘湯、疎経活血湯、当帰芍薬散、半夏白朮天麻湯、桂枝加朮附湯、薏苡仁湯
清熱剤・・・白虎加人参湯、十味敗毒湯、黄連解毒等、立効散、辛夷清肺湯、桔梗湯