ADHD(注意欠如多動症)

注意欠如多動症は最近注目されている発達障害の一つです。

有病率は3~7%で男性のほうが多い傾向にあります。

2/3が成人になっても症状が残ります。

診断にIQ検査は必須ではありませんので誤解のないように。

以下が具体的な症状です。

頻繁に発生する項目のみをカウント(17歳以上は5項目、それ以外は6項目必要)。


①注意障害
  

ケアレスミスが多く、詰めが甘い。

集中が続かない。

人の話を上の空。

他の事に脱線する。

物事を段取りよく出来ない。

面倒な事は後回し。

忘れ物、失くしものが多い。

外部刺激で注意がそれる。

予定などを忘れる。

 
②多動、衝動性
  

着席中、そわそわと手足を動かす。

着席すべき場面で離席する。

走り回ったり高所に登る。

静かに過ごせない。

じっとしていられない衝動に駆られる。

おしゃべりが止まらない。

質問が終わる前に返答する。

順番が待てない。

他人の邪魔をしてしまう。

 

上記の症状のいくつかが12歳以前から存在する事、二つ以上の場面で存在する事、社会的機能を損ねている事、他の疾患の除外が診断基準です。DSM5では不注意、多動衝動ともに17歳以上は満たすべき項目が6項目から5項目に緩和されました。

 
現在は安全に使える治療薬で改善が望める為、早期診断、早期治療が大切です。
 
一般的に多動や衝動は大人になるにつれ軽くなっていく傾向にありますが、不注意は大人になっても残る傾向があります。
 
その為、「仕事が出来ない人」等という誤ったレッテルを貼られ、叱責を受けて自信喪失したり、強いストレスを感じる事で二次的な「うつ状態」や「不眠症」に繋がることもあります。
 
また「物忘れ」=若年性認知症と誤認されることもあります。
 
幼少期の様子やエピソードを注意深く問診することで正確な診断に繋がります。
 
<治療薬>

①コンサータ・・・即効性があり、飲んだその日から効果を実感できる場合もあります。

ただし12時間しか効果が持続しません。

覚醒効果があるため、朝に服用します。

悠長に待っていられない、治療を急ぐ、でも効果は12時間だけでいいという場合はこちらで治療をします。

例えば「仕事の時間だけ集中していればいい」という方は向いているかもしれません。

特定医師のみ処方可能で、指定薬局でしか扱えません。(当院は処方可能であり、近くのキリン薬局さんが指定薬局です。)

 

前頭葉、側坐核、線条体においてドーパミン(DP)、ノルアドレナリン(NA)を増やすと考えられています。

DP=報酬系(先延ばし癖の改善、取り掛かり、最初の一歩)にも効果があります。

アルコール依存症等の並存がある場合は通常使用しません。

重度のうつ病、甲状腺機能亢進症、緑内障、運動性チック、頻脈性不整脈、狭心症、褐色細胞腫の方、過度の不安、緊張、興奮のある方、MAO阻害剤内服中の方には処方できません。

 

ストラテラ・・・飲み始めてすぐには効果が出ませんが、効き始めたら24時間効果が持続します(効果を実感できるまで2週間~2ヶ月程度必要)。

イメージとしてはダムの水位が上がってくると効いてくるという感じです。

元々は抗うつ薬として開発が始まった経緯があり情動安定化作用があるとも言われています。

24時間効果が必要な方、例えば仕事も家事も頑張る主婦の方や、学校も塾も頑張る受験生の方はこちらが良いかもしれません。また、うつ症状が強い方、不安緊張が強い方、朝起きられずにコンサータの服用が困難な方もこちらになります。

 

NRIとして前頭葉に作用し主にノルアドレナリンを増やすと考えられています。

NA=実行機能(計画、優先順位、切り替え)の改善には効くが、DP=報酬系(先延ばし癖、我慢)の改善には弱いという面もあります。

緑内障、心疾患、褐色細胞腫、MAO阻害剤(パーキンソン病の薬)内服中の方には処方できません。

CYP2D6を阻害する薬(例えばパキシル)との併用には注意が必要です。

 

③インチュニブ・・・現在は小児のみ使用可能(大人は治験中)。

他の2剤がカプセルなのに対して本剤は錠剤なので、飲みやすいという意見もある。

元々は降圧剤でアドレナリンα2受容体刺激薬として幅広い症状に穏やかに効く。

ストラテラよりも効果発現が早いがコンサータよりは遅い。

依存性がなく消化器症状がない。

血圧が下がり眠くなる、口渇などの副作用が考えられる。


*ADHDではと言われている著名人・・・織田信長、坂本龍馬、モーツァルト、アインシュタイン、ベンジャミン・フランクリン、トーマス・エジソン

 

合併する事がある自閉スペクトラム症(旧アスペルガー症候群etc)につきましてはこちらからセルフチェックが可能です。

 

非常に噛み砕いて説明しますと自閉症スペクトラムの方は、いわゆる「空気を読む」のが苦手です。

独特の感覚過敏も認めます。臭いに敏感だったり音に敏感だったりするため、これを幻臭や幻聴と誤認され精神病と誤診されるケースもあります。

日本的な「相手の気持ちを察する」、「以心伝心」、「阿吽の呼吸」、「アイコンタクト」といったものが苦手というわけです。

「言外の意味」を汲み取るのが苦手な為、曖昧なニュアンスを含んだ「言葉、会話」よりもきちんと明文化された「文字、メール」での伝達が向いています。

自らのマイペースを乱される不意打ちや臨機応変な対応といったものが苦手です。

その反面、自分の興味があることには非常に能力を発揮する為、一芸に秀でるといった特徴もあります。

大切なことは、得意な所を伸ばし、苦手な所はトレーニングまたはテンプレートでやり過ごす、もしくは最初から関与しないといった事かと思います。自分なりのマニュアル作りもカウンセリングでは行います。

一般的に接客業等の器用さやコミュニケーションスキルを要する仕事は苦手で、一人で黙々とマイペースにできるデータ入力作業や清掃等の仕事は比較的向いていると言われています。

all-rounderよりspecialistです。

DSM5ではADHDは自閉スペクトラム症(ASD)と同じ「神経発達障害」というカテゴリーに入るようになりました。

「神経発達障害」は他に、IQの問題、学習障害、チック等を包含します。

DSM5では広汎性発達障害やアスペルガー等は「自閉スペクトラム症」(ASD)に統一されました。

以前は併存を認められなかったASDとADHDもDSM5では併存可能となりました。