何者にもなれなかった
ある(架空の)ACのモノローグ
わたしは、優秀な人になれなかった。
わたしは、有名な人になれなかった。
わたしは、お金持ちになれなかった。
わたしは、誰からも好かれる人になれなかった。
わたしは、何者にもなれなかった。
でも、よく考えると、
それらは、わたしがなりたかったものではない。
母親が、わたしになってほしかったものだ。
わたしは、母親の理想になって、
母親に褒められたかった。
母親に認めてほしかった。
だけど、それは叶わなかった。
古い友人に会った。
何者でもないわたしに友人は、
「また会おう」
そう言ってくれた。
わたしは、
何者でもないし、母親の理想でもないけれど、
ずっと「わたし」だったのかもしれない。
わたしは、何者でもない「わたし」を、
少しずつでも愛せるようになりたい。
今はそう思っている。
窪田佳美